所得税・住民税のイメージ|いつ払う?いつ決まる?どう決まる?

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 社会人になると、税金について触れる機会が非常に多くなります。

 個人事業主などで自分で税金を納めるべき人は、このあたりの知識が必須なので、必然的に勉強します。しかし、そうでない会社勤めの人は、会社が代わりに計算して徴収してくれるので、このあたりのイメージが全然つかめていない人も多いのではないでしょうか。

 今回はまず、「給与所得のみ」「確定申告なし」の非常にシンプルなパターンについて、その基礎中の基礎となるイメージをみていきます

所得税と住民税の確定・徴収イメージ

 所得税と住民税は年収によって納付金額が決まるという点は似ていますが、所得税と住民税は徴収されるタイミングが異なります。

所得税と住民税の確定・徴収イメージ

 上図では、簡単のため「給与所得のみ」「確定申告なし」の場合を記載しています。

 所得税と住民税で根本的に違う点は、徴収するタイミングです。

 そもそも確定した年間収入(年収)をもとに、所得税も住民税も計算されるのですが、所得税は毎月概算額が徴収され12月に年末調整で精算する、対して住民税は年収が確定した翌年6月~さらに翌年5月の間に徴収される、という構造になります。

 「社会人2年目は手取りが減る」とかいう話がありますが、その1つの理由は、住民税が引かれ始めるのが、2年目からになるためです。

 住民税は言ってしまえば「後払い」になります。一般にお金の世界では「後払い」は有利ですが、クレジットカードなどと同様に支払い分を確保できないと苦しくなる、というリスクもあります。

 例えば、退職や転職などの理由で、前年より収入ががくっと落ちた場合を考えると、住民税は前年収入で計算され翌年から徴収がはじまりますから、手取りを大きく圧迫する可能性があります。

所得税と住民税の計算イメージ

 所得税と住民税は収入が多ければ多いほど、税額が大きくなります。

 ざっくりした計算イメージは以下の図のようになります。

年収→課税所得2

 税額を計算する際は、「計算対象とする所得」を基準とします。これを「課税所得」と言います。

 収入全てを課税対象とするのは止めてあげよう、ということです。

 税金計算の対象外とする金額を「所得控除」と言い、給与年収から給与所得控除と各所得控除を引くことで課税所得が計算されます。

 課税所得 = 年収 - 給与所得控除 - 各所得控除

 所得控除は基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、寄付金控除など10種類以上あり、また所得税計算と住民税計算で「所得控除」の対象と金額が変わったりします(ここでは省略します)。

参考:所得控除の種類とそれぞれの対象者、金額、計算方法とは? | 給与計算ソフト マネーフォワード クラウド
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/39329/?msockid=170a188bc29e604035000db9c39b617e

 こうして計算された、課税所得に税率をかけたりさらに金額調整が入ったりして、最終的に税額が計算されます。

所得税と住民税の税率イメージ

 前節で計算された「課税所得」から税額を計算する際も、所得税と住民税で異なります。

 以下が横軸に課税所得、縦軸に所得税額をとったグラフです。

所得税率・住民税率グラフ

 図の通り、所得税は課税所得が多くなればなるほど税負担も大きくなっていくという、超過累進課税制度が見えます。

 対して、住民税は公平に一律10%(都道府県税と市町村民税の合計)となっています(実際は、所得に税率をかけて決まる所得割の他に、平等に同額が課される均等割の合計になります)。

 所得税と住民税で「課税所得」の計算方法が若干異なるので、上図から「所得400万過ぎから所得税の負担の方が住民税より大きくなる」という見方は正確ではありません。ただ、ざっくりイメージとしては間違っていません。

 住民税と違い、所得税のグラフはやや複雑なため、単純に税率をかけただけでは算出されません。

 このあたりを1ステップ噛み砕いた計算は、以前の投稿で鑑賞していますので、参考までに。

まとめ

 今回は所得税と住民税のイメージについて、図とグラフで鑑賞しました。

 どちらも大枠は、収入→所得→税額の順に計算される点は似ていますが、納める(徴収される)タイミングは全く違います。

 まずは、このイメージが基礎中の基礎となります。

 これがイメージとして定着すると、確定申告やふるさと納税、所得控除、、、などが間違いなく理解しやすくなるでしょう。

 税金について理解を深めることは、自分の資産を増やすために必ず役立ちますので、引き続き学習していきましょう。

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