【実体験】入社後アプローチにくる保険屋さんを正しく活用してみた

お金をセキララにさらす ♦おかね

 入社したての新入社員を狙って、保険の勧誘員が会社のエレベーターホールなどで案内を配っている、なんて様子を見たことがある方は多いのではないでしょうか。

 そんな保険屋さんの、タメになる活用の仕方を、実体験をもとに記載します。

お金の勉強の入り口

 入社して自分でお金を稼ぐようになると、あふれんばかりのお金の情報に触れることになります。

  • 社会保険
  • 年金
  • 税金 などなど

 このような情報に触れる機会が少なかった新入社員は不安でいっぱいです。

 保険屋さんはこの「お金に関するリテラシーがない不安」を攻めてきます

 不安というのは、それがよくわかっていないからであり、知識のある人の話し方次第でリスクを過大評価させることもできます。これを利用したグレーなビジネス(高額セミナーなど)は世にあふれていますが、民間保険に関しては契約しない限りはお金が出ていきません。

 見方を変えれば、保険屋さんはお金の知識の入手先として、素晴らしい存在ではないでしょうか。営業活動であるため親切ていねいに何でも教えてくれます。特に対談形式であれば、もはやマンツーマンの個別レッスンのようなものです。

保険屋さんが教えてくれること

  1. ライフプランと年金
  2. 公的保険と民間保険
  3. 生命保険料控除

ライフプランと年金
 人生のライフイベントとその必要資金、家計簿の収支状況などから、将来の資金計画のシミュレーションを作成してくれます。あくまで、平均的な必要資金、平均的な寿命などをもとにしたものですが、将来のお金のことについて考えるきっかけとしては十分です。私もちょうどその頃、老後2000万円問題などがささやかれていた時期でしたから、公的年金制度などについて調べることにつながりました。

公的保険と民間保険
 公的保険では何をどの程度保障してくれるのか、民間保険にはどんな種類があるのかを教えてくれます。生命保険、医療保険、個人年金保険など、備えるリスクによる区分や、定期保険、終身保険など保険期間による区分など、保険商品は複雑多岐にわたります。ここを納得させないと契約につながらないので、保険屋さんもていねいに説明してくれます。私は保険について知識がほとんどなかったため、そもそも保険料払込総額より多くの返戻金が返ってくるタイプの保険があることに衝撃を受けました。

生命保険料控除
 1年間に支払った保険料が、上限の範囲内で所得から控除される制度です。リスクに対する保障という保険本来の役割以外でのメリットとして説明してくれます。新入社員の私には、はじめは理解が難しかったですが、持ち帰り自分で調べてはまた質問を繰り返して、「所得税・住民税」の計算方法について勉強ができました。

むやみに契約しないために抗うべき心理

  1. 返報性の心理
  2. 単純接触効果
  3. コンコルド効果

返報性の心理
 人に何かをしてもらったら、それにお返しがしたくなる心理をいいます。洋服屋さんで店員さんに試着を勧められ、実際に着てみると、何となく買いたくなったり(あるいは断りにくくなったり)した経験はありませんか。保険屋さんに対しても、この心理が働きます。せっかくプランを作ってくれた、ていねいに説明してくれた、ということに対して、断りにくくなってしまいます。

単純接触効果
 何度か対面で会うことによって、好感度が高まったり、好意をもちやすくなる効果をいいます。ビジネスマンが営業に活かしたり、恋愛テクとしてもよく紹介されます。狙ってなのかはわかりませんが、保険屋さんは1度の対談で済ませずに、理由をつけて2度、3度とアポを打診してきます。

コンコルド効果
 ものごとに費やしたお金や時間をムダにしたくないという心理が働くことをいいます。途中でやめたほうがいい場合でも、この効果によって論理的判断を鈍らせます。ギャンブルで引くに引けなくなってしまうことを例に紹介されたりします。保険のプランを検討した時間、対談した時間が多くなってくるほど、最終的に何も契約しないという判断がしにくくなってしまいます。

保険屋さんを上手に利用するテクニック

  1. 前項の3つの心理効果を知る
  2. 他社の提案プランを見せる
  3. 他社の保険屋さんの説明をぶつける

■前項の3つの心理効果を知る
 これらの心理効果があることを知っているだけでも、冷静な判断につなげることができます。欲をいえば、これらの心理効果に抗える強いメンタルを意識できれば、むやみに多くの保険を契約せずに済むでしょう。

■他社の提案プランを見せる
 複数社から見積もりをとる、ということはよくありますが、加えて他社の提案プランを見せてみてください。会社によって違う部分が見えてきたり、逆に似た部分が見えてきたりすると、保険というものの一般的な仕組みやトレンドの把握にもつながります。
 また、少しいやらしいかもしれませんが、他社のプランを持ち出すことで断る理由を作ることもできます。

■他社の保険屋さんの説明をぶつける
 新しい知識を学ぶ際は、複数の情報源にアクセスしたほうがいいことは、よく知られています。保険屋さんがいくらお金や保険のプロであっても、知識の解釈は人によって微妙に色がつきます。「生命保険料控除って、税額控除ではなく所得控除ですよね」などと、インプットした情報はアウトプットし理解を深めていければ、あなたの血肉として定着した知識になります

実体験とまとめ

 結局、入社してから1年の間に3社と契約しました。契約途中で減額変更したものもありますが、いまだに契約しています。複数社の保険屋さんと重ねた対談の回数は、両手・両足じゃ数えられないほどです。その費やした時間以上に、重要な知識や価値観を得ることができたと思っています。

 特に、保険屋さんが教えてくれるお金の知識については、そのほとんどがFP(ファイナンシャルプランナー)3級で学ぶことができます。保険屋さんとのやりとりをきっかけに、その必要性に気づき、資格取得までいたりました。

 保険というものは素晴らしい発明だと、私は思います。「公的保険だけで十分、民間保険は不要だ」という意見も多いですが、私の意見としては中立です。保険は無形の商品なので、わかりにくい部分が多いのが事実です。ここを曖昧なままにせず、リスクと保障内容をしっかり納得して契約したものであれば、それはその人にとっていい「買い物」なのではないでしょうか。

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