お金の自己増殖機能|①お金のレンタル料

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 お金には交換・計算・保存の3機能をもつといわれています(以下の過去投稿に記載)。

 これらの基本機能に加えて、お金にはどんどん増え続けていくという恐ろしい性質があります。

 今回は、お金の自己増殖機能についてみていきます。

お金のレンタル料

 私たちの社会は、お金の貸し借りで動いています。私たちが銀行にお金を預ける、リボ払いで買い物をする、家や車を購入する際にローンを組む、株式会社が株主から資金を調達する、国が予算の3分の1程度の赤字を賄うため国債を発行する、などなど。

 これはお金の交換機能と保存機能の派生で、「今は足りないけど買いたいものがあるときに、お金が余っているところから借りて、あとで返す」というものです。

お金の貸し借りとレンタル料

 そしてお金を借りている間には必ず「お金のレンタル料」が利子や配当金という形で発生します。言い換えれば、お金(利子や配当金)を払ってお金(必要な分)を借りている、ということです。

 ですので、タンスで眠らせている分にはそのままですが、お金は誰かに貸せば金利や配当金によって増えることになります。

 これは「投資をすれば必ず増える」というような怪しげなセリフではなく、「お金は貸し借りすることで必ずレンタル料が発生する」という基本的な性質そのものを説明しています。

 では、私たち個人が選ぶことができるお金の貸し先(=預け場所)として、次節でいくつかの資産の過去情報をみてみましょう。

資産の過去リターン

 主要資産のリターンはどの程度なのか、過去20年のグラフを見てみましょう。

主要資産20年過去リターン
『myINDEX』より「世界の主な投資資産リターン」(https://myindex.jp/assets_i.php

 資産の種類によって違いはあれど、右肩上がりに成長していることが見てとれます。

 リスク資産といわれる株式や不動産は変動が激しいですが、10年以上の超長期でみれば様々な経済危機を乗り越えて大きく成長していることがわかります。

 対して、安全資産の債券は変動が緩やかで、それでも平均数%の成長率となっています。無リスク資産ともいえる現金は、バブル崩壊後の超低金利時代においては雀の涙ほどしか増えず、ほぼ年平均リターンは0%です。

過去データから学ぶべき3点

 前節のグラフから学んでおきたいことは次の3点です。

お金(資産)は基本的に増えていく

 これはデータの切り取る期間を過去10年や30年、50年にしても同じく右肩上がりであり、成績の良い期間選んで切り取った訳ではありません。

 10年以上の超長期では資産は増えるものといって差し支えないでしょう(もちろんこれから先の未来も確実に増えるという保証ではないことご留意ください)。

平均年リターン数%~10%程度は十分可能な範囲

 代表的な資産クラスである株式で、平均すれば年10%程度成長していることがわかります。投資の世界では、平均年リターン10%程度は成績がいい方で十分可能な数字です。

 裏を返せば、年リターン20%以上をうたっているものには、カラクリもしくは裏があるということです。

 例えば、単純にあなたを騙そうとしている怪しい投資話の場合もあれば、次のようなそれなりに真っ当なカラクリが潜んでいる場合もあります。

 外貨預金のトルコリラなどで金利25%超えを見ますが、こういうものはだいたい預入期間が1ヶ月の場合の数字です。つまり、1ヶ月預けて帰ってきたときに2%程度金利がつきますので、年換算では2%×12ヶ月=24%になるという、見た目上の数字のカラクリです。

 さらに言えば、新興国通貨で高金利のものは通貨安が進行しているものも多く、金利は2%もらっても通貨が30%下落するなんてこともよくあります。

 年リターンが20%以上あるようなものは、しっかりそのリスクとカラクリを理解することにまずは努めましょう。

平均リターンは幻想であり一定ペースではない

 よく錯覚に陥るのが、平均年リターン5%などと聞くと、資産は毎年それなりのペースで増えていくと思ってしまうことです。

 前節のグラフで、外国株式にあたる部分(紫線)について、年別にリターンを示したものが以下のグラフになります。

外国株式年次リターン
『myINDEX』より「MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI) (円)」(https://myindex.jp/data_i.php?q=MS1105JPY

 平均年リターンの10%に近い年は、雑に数えて50年のうちに6、7回程度です。つまり、平均リターン程度になるのは、7~8年に1回だけとなります(あくまでこのデータの場合)。

 ほとんどは平均リターンから外れた値で上げ下げを繰り返していき、超長期間で均したものが平均リターンです。

 当たり前のことですが、ここの理解が浅いと、投資を始めて平均リターン程度の成績が出ないことを理由に1年もたたず売却し撤退してしまう、という悲しい勘違いが生まれてしまいます。

 平均はあくまで実現値ではないことを今一度心に留めておきましょう

まとめ

 お金の貸し借りで発生する「お金のレンタル料」という仕組みから、お金は基本的に増えていく性質を持つことを、過去データとともに見てきました。

 次回はその「増え方」にもう少し注目してみたいと思います。

<次回投稿>
お金の自己増殖機能|②複利の破壊力

 過去データは未来を保証するものではありませんが、そこから学ぶべき点はいくつもあります。

 お金のリテラシーが低いと、他人に付け入られたり、ときには自身の欲に駆られて、お金を失ってしまい兼ねません。

 過去に学び、現在を改めて、未来を少しずつよりよくしていきましょう。

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